十人十色眼鏡

人によって見るものや見え方って違うもの

映画『シックス・センス』のオチでなく内容を語りたい ~親がすべきこととは~

ふと、昔なんとなく観た映画を改めて観てみようと思い、映画『シックス・センス』を借りた。


(解説)死者の姿が見える少年と彼を担当する小児精神科医の交流を衝撃的な展開で描き、M・ナイト・シャマラン監督の出世作となったサスペンススリラー。これまで多くの子どもたちを救ってきた小児精神科医マルコム。ある夜、10年前に担当した患者ビンセントがマルコムの自宅を襲撃し、彼を銃撃した後に自ら命を絶つ。完治したはずのビンセントを救えなかったことは、マルコムの心に大きな影を落とした。1年後、マルコムは8歳の少年コールのカウンセリングを担当することに。コールは誰にも言えない秘密を抱えており、周囲に心を閉ざしていた。2人は交流を続けるうちに心を通わせていき、ついにコールはマルコムに秘密を打ち明ける。なんとコールは、死者の姿が見えるというのだった。精神科医マルコムをブルース・ウィリスが演じ、少年コール役を務めたハーレイ・ジョエル・オスメントはアカデミー助演男優賞にノミネートされ、天才子役として名をはせた。
(映画.comより)

この映画、オチとかネタバレとか衝撃の結末ばかり話題にされるけど、
その辺は知ってたしそんなに意識せずに観たら精神科医マルコムと幽霊が見えてしまい悩む少年コールのヒューマンドラマとしてもいい話で感動した。

コンビものって言うのかな、歳とか経歴とかが全く違う二人の交流と成長を描いた話って個人的にめっちゃツボ。
有名所だけでもターミネーター2とかレオンとか挙げればきりない。
やっぱどんな物語でも過去やトラウマや受け入れがたい現実を乗り越える姿ってかっこいい。



以下、自分が思ったことを作品の内容に踏み込んで書くので、もしまだ観てなくて気になる人は観てみて下さい。
衝撃の結末で有名になるだけあるラストだと思うし。

……超ド級の有名作でこんな但書するの恥ずかしいにゃん。



私は幽霊を「時が止まっている人」「停滞している人」だと捉えている節がある。
未練があって現世に留まっている点からそう思う。
そして生きている人についても幽霊のように感じるときがある(霊感的な意味ではなく文脈的な意味で)。
よく目標や生き甲斐がないor無くしてしまいぼんやり生きている人のことを「まるで死んでいるor死人のようだ」とか「死んでいないだけで生きていない」とか表現されていることがあるけど、その感覚と同じだと思う。

この作品では停滞している人ばかりだった。
精神科医マルコム。ある事実を受け入れられていないだけでなく、ある患者を救えなかったという過去に囚われている。
少年コール。霊が見えるために現実を恐れ直視できないでいる。周りともうまく行かない。
コールの母。シングルマザーとして息子のコールに接するも、なかなかの問題児のため家庭もややギスギス。
あとはマルコムの婚約者もそうかな。


そして彼らがその停滞をどう脱せたかがこの作品の見どころの一つな訳だが、
それを一言で表すなら「きちんと現実と向き合った」こと……こう言葉にするとなんか説教臭くなってしまった。
でも作中で提示される幽霊のルールの一つに「彼らは見たいものしか見ない」とあったし、割と意図的にそういう造りになっていると思う。


マルコムはかつての患者にもう一度向き合い理解したことで、コールとも向き合うことができ、結果患者に未練があった自分も救うことができた。
コールはマルコムと一緒にとある幽霊と向きあうことで自分の能力を受け入れられた。
そしてそんなコールがマルコムにアドバイスし、マルコムのもう一つの問題も解決していった。

片方の成長がもう片方の成長に繋がる……
本当にいいコンビ、いい物語だと思った。


そしてコールの母親。
コールの母親も、コールが祖母のエピソードと共に自身の能力を告白したことで、コールを理解し受け止めることができた。



そして私が感じたこと。
それは「現実と向き合うことというのは、すなわち相手を理解し受け入れること」なんじゃないかな、ということ。

そう感じたきっかけはコールの母親についてである。
こいつだけ何もしてねぇ癖にハッピーエンド面していやがる🤔
いや確かに必死に子供と向き合おうとはしていたんだけど、結果に繋がるほど効果があった行動はなかったように記憶している。
終盤、他所で少し成長してきたコールくんの霊感カウンセリングを受けて抱きしめただけ。
大人であり親であるはずなのに、子供に何かするどころか、むしろトラウマを救ってもらうだなんて!とそのシーンだけ切り抜いて見たら間抜けに見えなくもない。

コールも変に大人びていて(賢いそうだし実際8歳にしては使う言葉が小難しい)、恐らく周りの顔色を伺う癖のある(そしてその読心も的確で、敢えて嫌がらせをするときもある)、それこそ奇妙だとか怪物だとか思われかねない、普通ではない子供である。
ここ、子役の演技もほんと絶妙で、孤独に苦しむ子供とも理解しがたいモンスターとも感じられた。
そら普通の母親の手に余るわ。子育てしたことないから知らんけど、絶対自分も面倒見きれんわ。

そんなハイスペック(?)な子供だけど、その子のために親としてできること、すべきことというのが、ただコールをありのまま理解し受け止めることだったんだと思う。
コールの抱えていた問題は霊が見えること。
その問題を解決するには、霊を追い払ったり見えなくさせたりできたらよかったけど、そんなことできない。
結局、幽霊周りの問題はコールが(マルコムと仲良くなること含め)ほぼ自力で解決した。

母親がしたことはただ抱きしめた、理解し受け止めた。
具体的な解決策はとれなくとも、親としてそうするだけで百点なんだと思う。親になったことないから知らんけど。


最近は妙に親に完璧さを求める風潮があって、
少しでも欠点があれば毒親なり親ガチャ外れなり言われがちだけどさ。
親も人間。どうしても欠点はあると思う。
※もちろん、本当に問題のある親子関係はあるけどそれは今回の趣旨とは逸れるのでカット

親は最低限子供のことを受け止めてさえいれば、子供は勝手に成長していくんじゃないかな。


なんか、下書きのまま記事を温めているうちにブルースウィルスが俳優を引退してしまっていた。
お疲れさまでした。